案のじょう、龍興はその一書を手にすると、忽ち降伏の旨を云いやって、一族、斎藤九郎右衛門、日根野備中ひねのびっちゅう長井隼人ながいはやと牧村丑之助まきむらうしのすけ、その他三十余名の側臣だけをつれて、城外へ出てしまった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)