「あれは火雷命ほのいかずちのみことだ。」と、囁いてくれるものがあった。 大男は静に手を挙げて、彼に何か相図あいずをした。それが彼には何となく、その高麗剣こまつるぎを抜けと云う相図のように感じられた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)