松が小島、離れ岩、山は浮世を隔てて水はとこしなえに清く、漁唱菱歌ぎょしょうりょうか煙波縹緲えんぱひょうびょうとして空はさらにゆうなり。倒れたる木に腰打ち掛けて光代はしばらく休らいぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)