時雨しぐれがやんだり落ちたりしていたが、折柄の灰色雲を破って入日が漏れ、それがハレーションをおこして、脚下の千々岩灘も空も一様に、ぎらぎらと輝き渡った海天一色かいてんいっしょくの荘厳な光景は私達を魅了した。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)