没我ぼつが)” の例文
没我ぼつがより個性への傾向である。器より見るならば日常品より貴重品への転向である。一言でいうなら工藝より美術への進展である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
(一〇) 無心とは没我ぼつがの謂である。無心が美の泉であるなら、個性に彩る器は全き器となることはできぬ。古作品の美は没我の美である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
我空がくう」は仏説であった。亡我の境こそは浄土である。器に見らるる没我ぼつがは、救われているしるしである。救われたる器、それをこそ美しき作と呼ぶのである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)