権右衛門おやっさん)” の例文
「わいはこないに権右衛門おやっさんの為に泥棒の真似までして来たのや、それやなのに、あの主婦おかあは(政江のこと)……」「それをいいな、それを」と千恵造はなだめたが
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
鼻たれ小僧の時から使われて、権右衛門おやっさんのためには随分危い橋も渡って来た春松なのだ。権右衛門のことを想う念は一番強いともいえる。それだけに権右衛門の裸を見たがるのだった。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
春松は、権右衛門おやっさんなるかなと思った。之まで権右衛門が政江の尻に敷かれていることを大変不満に思っていたのだ。尻に敷かれていればこそ金も出来るのだ、との処世術など彼の与り知らぬ所である。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)