さとし「……妻のとがに代って腹切るほどなら、ここは生き長らえて、よい死に場所をほかに問え。もし、河内の楠木多聞兵衛くすのきたもんびょうえに会わば、そちに、よい死に場所を与えてくれよう」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)