この大和行幸の洛中らくちゅうへ触れ出されたのを自分が知ったのは、柳馬場丸太やなぎのばばまるたさがル所よりの来状を手にした時であった。これは実にわずか七日前のことに当たる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)