恐くは下町であつただらう。次で駿河台にうつつた。即ち年々武鑑に記された住所である。その地面を柳原岩井町やなぎはらいはゐちやうに拝領したのは瞑目した後であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)