所詮しょせん、ああまでの状態になりましては、漢薬の利き目おぼつかなく存じますので、実は、今日ふと思いつきました蘭薬の処方を持ち、本町薬種屋町ほんちょうやくしゅやまちの問屋を一軒ごとに歩きまして
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)