日向南那珂ひゅうがみなみなか郡の人身上千蔵君曰く、同君の祖父某、四十年ばかり以前に、山に入って不思議な老人に行逢うたことがある。白髪にして腰から上は裸、腰には帆布ほぬののような物を巻きつけていた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)