もっともいつか東京から或る有名な先生と、聡明そうめいをもって鳴るその奥さんとが来られて、私の家を訪ねられたことがあった。話のついでに、新一楽帖しんいちらくちょうと自称している自分の画帖を見せた。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)