それからしばらくして食うものがなくなると、また筆墨を背にせて行商に出る。彼はこの両面の生活を、ほとんど循環小数じゅんかんしょうすうのごとく繰り返して、く事を知らないのだと云う。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)