幽婉縹渺ゆうえんひょうびょうとして底知れぬ観である——不図耳を澄ますと、森の底から時折銃声が聞えた。二三発続け打ちにして、稍々暫くつと、また鳴る。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)