小松殿の薔薇園しょうびえんだの平相国入道へいしょうこくにゅうどうやかただのがいらかをならべていた平家繁昌の頃から、このあたりは民家も人通りも多い中心で、戦国以後もその旧態を残しているが、まだどこの家も戸は開いていなかった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)