震災の時まで、市川猿之助いちかわえんのすけ君が多年住んでいた家はこの通の西側にあった。とりいちの晩には夜通し家を開け放ちにして通りがかりの来客に酒肴さけさかなを出すのを吉例としていたそうである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)