東の高欄によりかかって、くさむらの中に夕明りを待って咲きそめる花のある植え込みを薫はながめていた。何も皆身にしむように思われる薫は、「就中断腸是秋天なかんづくはらわたをたつはこれあきのてん
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)