從つて彼等の遭遇す可き代表的運命は一切を經驗エルフアーレンして一物をも體驗エルレーベンせざる大なる白痴である。此の如くにして無鐵砲なる勇者の生涯は、矮小なる實驗家エツキスペリメンタリストの生涯と内容的に相接近して來る。
三太郎の日記 第一 (旧字旧仮名) / 阿部次郎(著)