と源氏の宰相中将さいしょうのちゅうじょうは言いかけたが、女は恐ろしがって、夢に襲われているようなふうである。「や」と言うつもりがあるが、顔に夜着がさわって声にはならなかった。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)