安賭場やすとば)” の例文
「親分、こいつは驚くぜ。荒物屋の午吉——草加から出て來て、安賭場やすとばを泳いでゐる男が、土左衞門になつて大川橋から揚がつたんだ」
「でも、船頭の權七の伜の權次は安賭場やすとばにはまり込んで、四日も天道樣を拜みませんよ、——ようやく搜し出しましたがね」
「萬事はその午吉が知つてゐるに違ひない。多分安賭場やすとばか何んかへ潜り込んでゐるんだらう。愚圖々々言ふなら、しよつ引いて來るが宜い。親父が口を割りや、一も二もあるまい」
橋場の渡しの悠長いうちやうさのせゐもあるにしても、一つは船頭權七の伜の權次が、安賭場やすとばを廻つて歩いて、もう四日も家へ歸つて來ないために、その行先をつきとめるのに手間取つたのです。