姫上ひめうへ)” の例文
といふに至りては、伏姫の心中既に大方の悲苦を擺脱はいだつして、澄清洗ふが如くになりたらむ。八房も亦た時に至りては、読経の声に耳を傾け、心をすまし欲を離れて、只管ひたすら姫上ひめうへ眷慕けんぼするの情を断ちぬ。