相客といふのは、先刻街道筋で、女巾着切をんなきんちやくきりを介抱してゐる時、近々と眺め乍ら、素知らぬ顏をして通つて行つた、二人の浪人者にまぎれもなかつたのです。
「やい/\/\、馬鹿な事をすると勘辨しねえぞ、女巾着切をんなきんちやくきりを捕まへたんだ、これが見えねえか」