細い道ではスピードが出せないものですから、賊の車は大環状線だいかんじょうせんに出て、王子おうじの方角に向かって疾走しはじめました。賊はむろん追跡を気づいてます。しかし、どうすることもできないのです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)