僕のとなりは、大月松右衛門おおつきまつえもん殿だ。その名のごとく人品こつがらいやしからぬ中年のおっさんだ。東京の新聞記者だとかいう話だ。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)