でも、彼の心のふさぎのむしはあとを潜めて、唯、まるで今歩いているのが、大日本平城京おおやまとへいせいけいの土ではなく、大唐長安の大道の様な錯覚の起って来るのが押えきれなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)