両側は、いわゆる多雨の森レイン・フォレスト、パプアの大湿林。まい日七、八回の驟雨があり、ごうごうと雷が鳴る。その雨に、たちまちジャングルが濁海と化し——独木舟プラウーが、大羊歯しだのなかを進んでゆくようになる。
「太平洋漏水孔」漂流記 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)