そこには、雪のせざさの金紋を印した三つの青漆葛籠せいしつつづらが山形に積みかさねてある。このつづらは、すなわち京の堂上梅渓家どうじょううめたにけから、徳島城へ送るべく、四国屋に託されたものだった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)