「いよいよ破産なんだ。親が僕に遺していった金は基督降誕祭クリスマスこうたんさい前に銀行から引出したやつで全部だが、昨日までに消費つかい果して、見給え、ここに百円残っているきりだ。これが無くなると、厭でも日頃の君の忠告に従わなければならない」
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)