そして、そのまま発射とともに、床の上に倒れたので、垂直をなしている左半身が、例の薄気味悪いKの字を描かせてしまったのだ。しかし、勿論それは、地精よいそしめコボルト・ジッヒ・ミューヘン——の表象シムボルではない。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)