国際列車が北停車場セーベルヌイ・ボクザールのプラットフォームにとまると、背広を着た陸軍少佐の藤原威夫は素子の先にたって、佐々一行の乗っている車室を見つけ、手まわりの荷物の世話をやき
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)