そこの勝曼院愛染堂しょうまんいんあいぜんどうが、彼の本陣とする所かとみえる。といって、ここにもたくさんな将士は見えなかった。ほとんどは、低地一帯の聚落じゅらくのうちに隠されているのらしい。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)