お雪は、その尺八の音に気をみましたけれど、尺八の音は、お雪の苦心に頓着なく、冷々亮々れいれいりょうりょうとして響き渡ります。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)