この男を見た時に、『霜夜鐘しもよのかね』の芝居に出る六浦正三郎むつらしょうさぶろうというのはこんな人だろうと思った。その時に彼は半紙にむかって「……………茶立虫ちゃたてむし」と書いていた。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)