……父は依田啓七郎よだけいしちろうといって、信濃しなののくに松代藩まつしろはんにつかえる五石二人扶持ぶちの軽いさむらいだった、実直いっぽうの、荒いこえもたてない温厚なひとだったが、二年まえに卒中を病んで勤めをひき
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)