これは横着な交換手に対する彼の戦法の一つである。いつか銀座尾張町をはりちやうの自働電話へはひつた時にはやはりベルを鳴らし鳴らし、とうとう「佐橋甚五郎さばしじんごらう」を完全に一篇読んでしまつた。
あばばばば (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)