手習に来る児童の数はすこぶる多く、二階の三室に机を並べて習うのであった。成善が相識の兄弟子には、嘉永二年うまれで十二歳になる伊沢鉄三郎いさわてつさぶろうがいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)