禅宗は不立文字教外別伝ふりゅうもんじきょうげべつでんを標榜し、坐禅と公案とを特に重んずる。道元もまた坐禅を力説した。しかしながら彼は、禅宗のこの種の特徴を認めない人なのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)