修道院の月しゅうどういんのつき
たぐひ稀なうつくしい光をはなつ今宵の月よ。八月十四日の盆の夜に、天心にあつてさやけく照り満ち、そゞろに秋の思に堪えざらしめる。その思、歓びに似て歓びでなく、哀しみに似て哀しみでなく、たゞ哀歓交々心胸を往来して、白月の秋風と共に我胸に入つて漂 …