遥かな旅はるかなたび
夕方の外食時間が近づくと、彼は部屋を出て、九段下の爼橋から溝川に添い雉子橋の方へ歩いて行く。着古したスプリング・コートのポケットに両手を突込んだまま、ゆっくり自分の靴音を数えながら、 汝ノ路ヲ歩ケ と心に呟きつづける。だが、どうかすると、彼 …
作品に特徴的な語句
しの やすり