もち
餅を焼き乍ら夫はくくと笑った——何を笑って居らっしゃるの」台所で雑煮の汁をつくっていた妻は訊ねた。 知って居るところへは旅行をするから年末年始の礼を欠くという葉書を出してあるので客は一人も来ない。女中も七草前に親許へ正月をしに帰してやった。 …