冬のしぶきふゆのしぶき――母親から獄中の息子に――――ははおやからごくちゅうのむすこに――
お前が工場の帰りに買ってきてくれた この櫛は もうあっちこっち歯がこぼれた 梳いたヌケ毛の一本一本は お前がオッカサンとよばってくれる その日がまためぐってくる年月のながさを ヒトツキフタツキと かぞえさせる お前からの夏のタヨリを 帯には …