私たちが羽田をたつ日、東京は濃霧であった。私が東京で経験した最も深い霧。半マイルの視界がないと飛行機の離着陸ができないそうで、八時にでるはずの福岡直行便が十二時ちかくようやく飛びたった。しかし乗客一同出発をうながしたり怒ったりする者が一人も …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行 |
初出 | 「中央公論 第七〇年第二号」中央公論社、1955(昭和30)年2月1日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約35分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約58分(300文字/分) |
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