大井広介といふ男おおいひろすけというおとこ――並びに註文ひとつの事――――ならびにちゅうもんひとつのこと――
大井広介に始めて会つたのは昭和十五年大晦日午後七時、葉書で打合せて雷門で出会つた。その晩、大井広介は至極大真面目で、自分はインチキ・レビューの愛好家で、女性美はレビューの動きに極致があると信じてゐるから、自分の娘もレビューガールにするつもり …