学生であつた私は春の休暇で故郷の町に帰つてゐたが、うちでは勉強が出来ないと称して二三駅離れた海辺の村へ逃れてたつた独りで暮してゐた。そしてヘツペル先生へ長い手紙ばかりを書いてゐた。主に象徴的な文字で架空的な悩みを訴へるのであつた。間もなく先 …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「大阪朝日新聞 第一八四二四号」大阪朝日新聞社、1933(昭和8)年2月19日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約8分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約14分(300文字/分) |