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至尊
武家の大逆もさることながら、ここしばしは、
日月も
暗うなり、
至尊たりとも、
天が
下にお身を隠す所すらない乱れを地上にみるでしょう。
殊に天上天下唯我独尊の釈迦牟尼
如来が
至尊の王位と金殿玉楼すなわち天下の
富貴を捨てて
破衣乞食の出家となって我ら一切
衆生のために身命を
抛って御修行せられたことを思いますと
帝室にして
能くその地位を守り
幾艱難のその間にも
至尊犯すべからざるの一義を
貫き、たとえば
彼の有名なる
中山大納言が
東下したるとき、将軍家を
目して
吾妻の代官と放言したりというがごとき