安神あんしん)” の例文
けれども結局矢張り同じ他手ひとでをかりるにしても自分の近くでないとどうしても安神あんしんが出来さうにもありませんので連れてかへることにしました。
らいてう氏に (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
東京市中や市外の要所々々にも歩哨ほしょうが立ち、暴徒しゅうらい等の流言にびくびくしていた人たちもすっかり安神あんしんしましたし、混雑につけ入って色んな勝手なことをしがちな
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
うたがいも何もいだいていない友だちのやあ公である。正九郎しょうくろう安神あんしんしてはいっていった。
空気ポンプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それで清子氏としてはそれは決して全く不自然ではないかもしれない。そして氏自身がそれで安神あんしんしてゐられるなら少しも差支へのないことだと思ふ。
しかしこのくらい元気なら大丈夫だいじょうぶだと次郎君は安神あんしんしました。
決闘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
私は、とうてい、たゞでは打ちかてないと思ひましたので、とうとう周囲を欺いて安神あんしんさせて 油だんを見て再び上京しました。去年の十一月なのです。
世間の人は、ちつともそんな事は考へないでたゞ賞められゝば直ぐに好意をもつたり親しくなるものと簡単にきめてゐるのですね、ですから何卒その事は御安神あんしん下さい。
私信:――野上彌生様へ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
私は私の醜い処や最も私の下劣な欠点までも認めてくれる人でなければ安神あんしんしておつき合ひをすることは出来ません、そしてそれでなければ本当の理解ではありません
中村孤月様へ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
私は子供ながらも無礼なS先生の問ひ方や態度に激しい憤りを覚えながらもS先生に断つたと云ふ安神あんしんでその時間が来る迄は図画のことなどはけろりと忘れてゐました。
もうその反抗が立派な一つの自分の力を証明した事実として安神あんしんしてゐる人の方が多い。
感想の断片 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
五月一日からとりかゝるさうですが まだ私はかうして編輯室よりを書いたりしてゐますから御安神あんしん下さい。岩野さんも荒木さんもぶじです。林さんもたぶん何事もないだらうと思ひます。
氏は今の処何にも書く気になれないしとても雑誌の経営などは出来ないからあなたにやつて貰へば私も一番安神あんしんだけれどたゞだんだん経営は困難になつて行くし先きに行つてあなたの困るのが見えてゐるからそれを