馬喰町ばくろちやう)” の例文
八五郎は一杯呑むのを遠慮して、晩飯だけ詰め込むと、馬喰町ばくろちやうの中屋へ、少し早いのを承知で出かけました。
引連ひきつれ訴訟そしようするぞ急度きつと間違へなと申先是にて概略あらましきまりしなりいざ皆々歸るべしと後藤は立上るに三人もともに出立しが仲人なかうど佐兵衞へ別れを告げ馬喰町ばくろちやうさして歸りける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
父は馬喰町ばくろちやうの米屋といふ旅籠屋はたごやの隱居所へ忍び込み、六十三歳になる女隱居を殺害して、金百兩をうばひ取つたと申すことでござりますが、それは本當でござりますか。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし電車のとほつてゐる馬喰町ばくろちやう大通おほどほりまで来て、長吉ちやうきち横町よこちやうまがればよかつたのかすこしく当惑たうわくした。けれども大体の方角はよくわかつてゐる。東京に生れたものだけに道をきくのがいやである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
書加へられよと申に長兵衞かしこまり候と其處そこ馬喰町ばくろちやうにて八十二間組けんぐみの公事宿だけあれば筆をふるつて願書をしたため直に翌朝よくてう南町奉行大岡越前守殿へ訴訟うつたへいでしかば越前守殿には願書を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
仕舞しまひ家財かざいうり路銀ろぎんとなし母子おやこ二人江戸へ立出馬喰町ばくろちやう定宿ぢやうやど武藏屋清兵衞方へ宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)