かしら)” の例文
習慣ならはしと自然これに特殊の力を與ふるがゆゑに、罪あるかしら世をぐれどもひとり直く歩みてよこしまの道をかろんず。 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼らが「イエスは悪鬼のかしらの霊にかれている」と言ったのは、すなわち彼ら自身こそ悪鬼の霊に支配されていたからです。
これに反対はんたいしたる開化党は多く年長としたけたる士なりしが、其かしらにたちて事をなす学者二人ありて、皆陽明学者なりし、その一人は六郎が父なりき。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
家へ帰っても今から寝るわけにも行かないが、一先ず帰宅をしようと思って十日ぶりに我家(とは名ばかりの郊外の下宿の一室)へかしらをたてなおした。
科学者と夜店商人 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
詩がわかるとか、ウタが好きだといふやうな呑気なものではなくつて大旅団のかしらから一兵卒に至るまでが、夫々悉く「ロマンス」の作家であつたといふのだ。
浪曼的月評 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
もし私が罪人つみびとかしらであるならば、私はまた苦しむ者のかしらでもあるのだ。この世がこんなに恐ろしい苦悩と恐怖とを容れる余地があるとは考えられなかった。
わしらは、無をもってかしらとし、生をもって背とし、死をもってしりとしとるわけじゃとな。アハハハ……。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分は少時しばらく立って見送っていると、彼もまたふと振返ってこちらを見た。自分を見て、ちょっとかしらを低くして挨拶したが、その眉目びもくは既に分明ぶんみょうには見えなかった。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「この手紙には、当日尾州でも禁門を守衛したとありますね。檐下詰のきしたづめには小瀬新太郎をかしらにする近侍の士、堂上裏門の警備には供方ともかたをそれに当てたとありますね。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
デイアボロス、ベリアル、ベルゼブル、悪鬼のかしら、この世の君、この世の神、訴うるもの、試むる者、悪しき者、人殺、虚偽の父、亡す者、敵、大なる竜、古き蛇、等である。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
裏切者のかしら——惡魔サタン自身——がその配下のユダの姿の中にのりうつゝてくるやうに見えた。
改るに質物と見えみな質札しちふだの付たるまゝにて大風呂敷に一包みあるゆゑヤイおのれいづれの者ぞ尋常に申立よと有りしかば久兵衞は俯向うつむきたりしがかしらあげ私しは山崎町油屋五兵衞方の番頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
芝居の方では新しいものが得られないから、古いかしらを出来るだけ手入れをして使う。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
余の人々は次の曲を待っているけれど吹く男は尺八をひざに突きかしられたまま身動きもしないのである。かくしてまた四五分も経った。他の三四人がまた立ち去った。自分は小船に近づいた。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのれつかしらはその列の尾を知らぬ
「彼はベルゼブルにかれている」とか、「悪鬼のかしらによりて悪鬼を逐い出すのだ」とか言いました(三の二〇—二二)。
しかして各その處にしづまりしとき、我はかの飾れる火が一羽の鷲のかしらくびとを表はすを見たり 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
歳にかしらがあり尾が有るべき理は無いなどと、愚にも付かぬ理窟などを考へて居るものは一人だつて有りは仕ない。大抵の人は歳末には感慨嗟歎し、年頭には奮起祝福するのが常で有る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ただ惜しいことにそれほどの郷土の誇りもだんだん時勢の圧迫を受けて衰微に向いつつある結果、古い人形が次第に使用にえなくなるのに、新しいかしらを打ってくれる細工人がいなくなった。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
だからイエスがサタンのかしらと格闘し給う間に、ペテロらもおのおの祈りの剣を抜き連れて、サタンと戦わねばならぬ。
〔法主〕archimandrita 群羊のかしらの義より轉じて僧官の意に用ゐらる、こゝにてはミノリ派(地、二三・一——三)の首僧即ちフランチェスコ
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
元日はかしらの如く思はるゝに至つて居るので有る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
さて汝ゆたかなる恩惠めぐみをうけて、僧侶のかしらにクリストを戴くかの僧院に行くことをえば 一二七—一二九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ある夜癩病人シモンの家にて食事の席についていた時、ある女が価高き、まじりなきナルドの香油の入った石膏の壺を持ち来たり、壺をこぼってイエスのかしらに注いだ。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)