ながし)” の例文
……豆府屋とうふや通帳かよひちやうのあるのは、おそらく松本まつもといへばかりだらうとつたものである。いまのながしもよく退治たいぢる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金太郎氏の息ながし両氏がすでに名声さくさく、しかも九郎翁はなお流儀の不安を語るので、私が「先生は名人として左右に立派な両門弟を控えておられるから御安心ではありませんか」
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
松本ながし氏追善。不忍池しのばずのいけ畔雨月荘。
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
……なにかんがへたか、いづれ周章あわてたまぎれであらうが、神田かんだ從姉いとこ——松本まつもとながしあね口説くどいて、じつ名古屋なごやゆきにてゐた琉球りうきうだつて、月賦げつぷ約束やくそくで、その從姉いとこかほ
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
出合であはせた女中ぢよちうに、きなれない、かうすこかすれたが、よくとほ底力そこぢからのある、そしてしたしいこゑおとづれたひとがある。「あ、ながしさん。」わたしこゝろづいてした。はたして松本長まつもとながしであつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)