金剛石ダイアモンド)” の例文
天上の最もあきらかなる星は我手わがてに在りと言はまほしげに、紳士は彼等のいまかつて見ざりしおほきさの金剛石ダイアモンドを飾れる黄金きんの指環を穿めたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
白地に星模様のたてネクタイ、金剛石ダイアモンド針留ピンどめの光っただけでも、天窓あたまから爪先つまさきまで、その日の扮装いでたち想うべしで、髪から油がとろけそう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼を短かしとする文明の民の夜会には、あらわなる肌にちりばめたる宝石がひとり幅をかす。金剛石ダイアモンドは人の心を奪うがゆえに人の心よりも高価である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
顔、白衣びやくえ金剛石ダイアモンドのブロオチ——何一つ動いてゐるものはない。その中に唯線香だけは一点の火をともした先に、ちらちらと煙を動かしてゐる。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
近頃トランスバール政府ではその所有に属する世界最大の金剛石ダイアモンドを英国皇帝に献ずる事に決した。この宝石の発見されたのは一昨年の正月の事であった。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これは青金剛石ダイアモンドと云う物だ。世界に二つと無い物で、もう盗まれてから大ぶの年が立つ。それを盗んだのはおれだ。世界中捜しても知れない。おれが持っている。おれが盗んだのだ。
橋の下 (新字新仮名) / フレデリック・ブウテ(著)
水の雫が金剛石ダイアモンドの噴水を作るように
初夏(一九二二年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
男たちはおのづからすさめられて、女のこぞりて金剛石ダイアモンド心牽こころひかさるる気色けしきなるを、あるひねたく、或は浅ましく、多少の興をさまさざるはあらざりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
髪は水色の紐にむすんだ、日本の少女と同じ下げ髪、着てゐる白衣びやくえは流行を追つた、仏蘭西フランスの絹か何からしい。その又柔かな白衣の胸には金剛石ダイアモンドのブロオチが一つ、水水しい光を放つてゐる。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は始めて空想の夢をさまして、及ばざるぶんあきらめたりけれども、一旦金剛石ダイアモンドの強き光に焼かれたる心は幾分の知覚を失ひけんやうにて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)